今や管理職に必須のスキルになったのが、部下をマネジメントする能力です。部下の仕事の進捗管理から、教育指導まで、やらなければいけないことは多岐に渡ります。

部下をマネジメントする上で一番大切なことは何でしょうか。それは、私は、部下からの尊敬を集めることだと思います。リーダーの本質は、何を言うかではなくて、誰が言うかだと思います。常日頃から、どのように部下と接してきたのか、自分自身と接してきたのか。また、上司の外見の魅力も大切です、特に女性の部下が多い職場では、着ているスーツや、髪形、体臭などもとても大事になります。

最近、「褒めて人を育てる」などの書籍が多いですし、コーチングのスキルや、承認のスキル等を教えるセミナーが数多く存在しています。もちろん、相手を認めることはとても大切ですし、相手の話をよく聴くことはとても大切です。しかし、それと相手を叱ってはいけないこととは、違うような気がしてなりません。

例えば、最近の若者は、叱られ慣れていないとか、打たれ弱いとか言われています。たしかに、私もそのように感じることはあります。しかし、彼らは本気で叱られてきたことがない故に、本気で自分のために叱ってくれる人を慕ってくれるのではないでしょうか。

少なくとも私は、お客様からクレームがあったときに「君はよく頑張ったよ。大丈夫だよ」などと言うことは出来ませんでした。「馬鹿野郎！！何やっているんだ！！」と叱責したものでした。

大切なのは、何を言うかではなくて、誰が言うかです。多くの場合、信頼関係が構築できていないのに、突然叱ってしまうのです。またフォローも行っていないのではないでしょうか。しっかりとした信頼関係を事前に築くことができていれば、叱っても何の問題もありません。また、なぜ叱っているのか、社会人として今の行為はどうだったのか、今後の自分のキャリアを築く上でどうなるのか、までゆっくり丁寧に話をしていくべきです。本気で相手（部下）のことを考え、本当に相手のためになることを言う。承認力などの見え透いたテクニックではなくて、本気で相手のことを考えた発言だけが、相手の心に届くのではないでしょうか。

執筆者：社会保険労務士 福井研吾