1分で読める労務管理のポイント

年次有給休暇の賃金の計算はどれを使うべきか   ( 2011.10.27 )

年次有給休暇の申請を拒否するのはできません。でも、会社としては、働いていない社員に賃金を支払いたくないという気持ちも理解できます。

年次有給休暇の申請を拒否できないのであれば、せめて、支払う額を減らすことはできないのでしょうか。

法律上、年次有給休暇の賃金は
①平均賃金
②所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
③健康保険法による標準報酬日額に相当する金額

となっています。

多くの会社では、②の「所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金」で計算しているのではないでしょうか。

でも、ちょっと待って下さい。
他の選択肢はないでしょうか。

 

例えば、平均賃金で、有給休暇の賃金を計算するとどうなるのでしょうか。

 

具体例で見てみましょう。

月給250,000円
通勤手当15,000円
土日休みの週休2日制 
月平均40時間の残業をする社員がいた場合

 

この場合10月の出勤日数は、21日です。残業代(40h)は、74,405円になります。
つまり、10月の支払総額は、339,405円(250,000円+74,405円+15,000円)になります。

年次有給休暇を1日使ったとしましょう。仮に上記②の「所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金」とした場合、年次有給休暇の賃金は、11,905円(250,000円÷21日)となります。もちろん、支払総額は変わらず、339,405円です。

 

では、平均賃金で計算した場合はどうでしょうか。
10月の平均賃金の額は、7・8・9月の賃金から判定していきます。

9月の出勤日数22日(残業40h) 賃金総額 336,023円
8月の出勤日数23日(残業40h) 賃金総額 332,935円
7月の出勤日数21日(残業40h) 賃金総額 339,405円

 

つまり、10月の平均賃金は、(336,023円+332,935円+339,405円)/(30日+31日+31日)
=10,960円

よって、10,960円が、10月の1日あたりの年次有給休暇の金額になります。

 

所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金で計算した場合の賃金は、11,905円(250,000円÷21日)になるので、945円平均賃金で有給休暇の賃金を計算したほうが、金額が低くなります。

1回あたりの金額は小さいですが、年次有給休暇の日数は、繰り越し分を含めると1人あたり最大で40日になります。

売上を上げるのは、これからの時代とても大変だと思います。平均賃金と所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金、どちらで有給休暇の賃金を支払うのがよいのか、労使間でよく話し合って、削減できる人件費は1円でも削減していくべきだと思います。

 

執筆者:社会保険労務士 福井研吾

労働時間の考え方①

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