1分で読める労務管理のポイント

無断欠勤する社員を解雇することはできるのか   ( 2012.02.14 )

「もう14日以上無断欠勤している社員がいるのですが、懲戒解雇できますか」このような質問を頂きました。

 

おそらく、多くの就業規則には

第○条
次の各号の一つに該当するときは懲戒解雇に処する。
①正当な理由なく無断欠勤14日以上に及んだとき

と記載されていると思います。(冒頭の質問の会社も、上記のような懲戒解雇規定の記載がありました)

 

この就業規則を根拠に、無断欠勤が14日以上に及んだときに、懲戒解雇をしても問題ないのでしょうか。

 

【昭和23.11.11基発第1637号、昭和31.3.1基発第111号】の行政通達には、労働者の責めに帰すべき事由に該当する事由が例示されています。

1)原則として極めて軽微なものを除き、事業場内における盗取、横領、傷害等刑法犯に該当する行為のあった場合
2)賭博、風紀紊乱等により職場規律を乱し、他の労働者に悪影響を及ぼす場合
3)雇入れの際の採用条件の要素となるような経歴を詐称した場合及び雇入れの際、使用者の行う調査に対し、不採用の原因となるような経歴を詐称した場合
4)他の事業場へ転職した場合
5)原則として2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合
6)出勤不良または出欠常ならず、数回に亘って注意を受けても改めない場合など

 

多くの就業規則の懲戒解雇の事由に、『無断欠勤が14日以上』と記載があるのは、この通達を根拠に記載されていると考えられます。

 

この通達には、『出勤の督促に応じない場合』と記載されています。つまり、無断欠勤者に対して、何の連絡をしていないのであれば、解雇は難しいと思われます。

 

仮に、何度本人の携帯に連絡しても、連絡がつかない場合には、その都度、連絡をした日・時間を記録し、会社が把握している住所に、内容証明郵便で、「○日までに会社に連絡をしないときは、就業規則○条に基づき、解雇に処す」などを記載した文書を送付しておく必要があるでしょう。

 

もっとも、実務上は、懲戒解雇処分にするのは、多少リスクがあると思います。(裁判等になった際に、無効とされる場合があります)ので、たとえ、懲戒解雇事由であっても、無断欠勤の場合は、普通解雇処分で行うべきだと考えます。

執筆者:社会保険労務士 福井研吾

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