1分で読める労務管理のポイント

精神障害の労災認定の厳格化   ( 2012.03.20 )

昨年の12月26日に、厚生労働省は「心理的負荷による精神障害の認定基準」について公表しました。

もちろん以前から、業務による心理的負荷を原因として精神障害を発症、または自殺した場合には「心理的負荷による精神障害による業務上外による判断指針」に基づいて「職場における心理的負荷評価表」により、業務による心理的負荷の強度等について、業務上外の判断を行ってきました。しかし、これは非常に分かりづらく、また、精神障害と認定するにも審査に時間がかかりすぎる点が指摘されていました。

この点を踏まえての、今回の新たな労災認定基準になるのですが、具体的には

①    対象疾病を発病していること。
②    対象疾病の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること。
③    業務以外の心理的負荷及び個体側要因により対象疾病を発病したとは認められないこと。

そして、ストレスの具体例を盛り込んだ新たな「業務による心理的負荷評価表」を公表しました。

1番のポイントは、対象疾病の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められるか否かです。特に下記のような「特別な出来事」に該当する場合は、即労災認定される可能性が高いのです。

心理的負荷が強度のもの
➢生死にかかわる、極度の苦痛を伴う、又は永久労働不能となる後遺障害を残す業務上の病気やケガをした(業務上の傷病により6か月を超えて療養中に症状が急変し極度の苦痛を伴った場合を含む)
➢業務に関連し、他人を死亡させ、又は生死にかかわる重大なケガを負わせた(故意によるものを除く)
強姦や、本人の意思を抑圧して行われたわいせつ行為などのセクシュアルハラスメントを受けた
➢その他、上記に準ずる程度の心理的負荷が極度と認められるもの

極度の長時間労働
➢発症直前の1か月前におおむね160時間を超えるような、又はこれに満たない期間にこれと同程度の(例えば3週間におおむね120時間以上の)時間外労働を行った(休憩時間は少ないが手待時間が多い場合等、労働密度が特に低い場合を除く)

 

労務管理上、特に注意しなければいけなのは、セクシュアルハラスメント対策と長時間労働対策だと思います。

今後、精神障害による労災認定がますます増加することが予想されます。国が、精神障害を発症した(自殺した)のは、企業側(業務上)に責任があることを認めたから労災認定されたということですので、その後、民事による企業側の安全配慮義務違反を追及する損害賠償訴訟が起こると思われます。

もはや、ハラスメント対策や長時間労働対策は避けて通れなくなってきました。上記のような「特別な出来事」に該当する職場環境には絶対にさせてはならないのです。そのためには、確固たる強い決意で、適切な労務管理を構築しなければなりません。

 

執筆者:社会保険労務士 福井研吾

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