1分で読める労務管理のポイント

フレックスタイム制の残業時間の計算方法   ( 2012.03.29 )

「フレックスタイム制を適用したときの残業代の計算方法を教えてください」このような質問をいただきました。

 

フレックスタイム制は、まだまだ導入している企業は少ないと思います。
しかし、フレックスタイム制は、IT業やデザイナー、コンサルタント業など時間ではなく成果で、仕事の価値が決まる業界では、適用する価値はあると思います。

 

フレックスタイム制を運用するときは、就業規則にその旨を定め、労使協定を締結する必要があります(労基署への届け出の必要なし)

 

冒頭のフレックスタイム制を適用したときの残業代の計算方法は、1日8時間、あるいは1週40時間を超えた場合に残業代が発生するわけではありません。フレックスタイム制の残業の計算方法は、「清算期間における法定労働時間の総枠」を超えた時間になります。

 

原則「清算期間における法定労働時間の総枠」とは、

清算期間

1週の法定労働時間が40時間の場合

(法定労働時間の総枠)

31日

177.1時間

30日

171.4時間

29日

165.7時間

28日

160.0時間

 

しかし、週休2日制の会社であれば、月の所定労働日数が23日の月があるため、23日×8時間=184時間となり、時間外労働時間数が増えることになります。そのため、

 

通達【平9.3.31基発228号】によると
①清算期間を1箇月とするフレックスタイム制の労使協定が締結されていること
②清算期間を通じて毎週必ず2日以上休日が付与されていること
③当該清算期間の29日目を起算日とする1週間における当該労働者の実際の労働日ごとの労働時間の和が労働基準法第32条第1項に規定する週の法定労働時間(40時間)を超えるものでないこと(つまり、月の1日を起算日として、1日から5週間を平均して1週間40時間を超えていないこと)
④清算期間における労働日ごとの労働時間がおおむね一定であること

の要件をクリアしていれば、所定労働日数×8時間を超えた時間を残業時間とすることができます(変形労働時間制ではこの特例は適用できません)。

 

つまり、完全週休2日制が保障されているのであれば、例えば、暦日数31日の月で、所定労働日数が23日の場合、月の所定労働時間数は184時間。通常であれば、177.1時間を超えた時間数が残業時間になるのですが、184時間を超える時間のみを時間外手当の対象とすることができます。

 

なお、フレックスタイム制であっても、休日労働や深夜労働をした場合は、35%(休日)、25%(深夜)の支払いが必要になるので、たとえ、労働者の自主管理で業務をさせる場合であっても、休日や22時以降働く場合は、別途申請させるなど、労働時間の管理をする必要があると思います。

執筆者:社会保険労務士 福井研吾

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